貴金属とは?定義や全8種類の違い、ジュエリーに金やプラチナが使われる理由を解説
ジュエリーブランド「WAS KNOT WAS」代表の越智です。
兵庫県明石市のアトリエを拠点に、デザイナーと職人の視点を交え、細部にこだわって製作したジュエリー・アクセサリーの魅力を発信しています。
ジュエリー選びの際に目にする「貴金属」「K18」「Pt900」といった言葉。
「一般的な金属と何が違う?」「なぜ純金や純プラチナのまま使わない?」と疑問に思ったことはありませんか?
なんとなく「高価で貴重な金属」というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、実は化学的・専門的に明確な定義が存在します。
今回は、貴金属の正確な定義から全8種類の特徴、なぜジュエリーの素材として選ばれ続けるのか、そして「品位(純度)」や「割金」の役割まで、職人の視点からわかりやすく解説いたします。
貴金属とは?普通の金属(卑金属)との決定的な違い
一般的に「貴金属」とは、単に高価な金属という意味だけではありません。
貴金属の化学的な定義
専門的には「イオン化傾向が小さく、変質・腐食しにくい金属」を指します。化学的な安定性に加え、地球上での産出量が非常に少ない希少な金属でもあります。
卑金属(ひきんぞく)との違い
対照的に、鉄や銅・アルミニウムなどは「卑金属」と呼ばれます。
卑金属は加工しやすく生活や産業に欠かせない金属ですが、空気中の酸素や水分と反応して酸化(錆び)しやすい特徴があります。
※銅は耐食性を活かして貴金属の割金材料としても重宝されます。
貴金属に分類される「全8種類」の金属
貴金属として正式に認められているのは、以下の合計8種類のみです。
・金(Au)
・銀(Ag)
・プラチナ(Pt)
・パラジウム(Pd)
・ロジウム(Rh)
・ルテニウム(Ru)
・オスミウム(Os)
・イリジウム(Ir)
※プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムの6種類は「白金族(はっきんぞく)」というグループに分類されます。
ジュエリーの主役。代表的な3大貴金属の特徴
8種類の貴金属のうち、ジュエリーの「主材料」として用いられるのが、金・銀・プラチナの3つです。
1.金(ゴールド / Au):永遠の輝きと豊富なカラー
変質や酸化に非常に強く、古代エジプトの時代から現代に至るまで価値が衰えない貴金属の代名詞です。混ぜ合わせる金属の種類によって、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドなど様々な色味を表現できます。
2. プラチナ(白金 / Pt):圧倒的な希少性と重厚な白銀色
白金(はっきん)とも呼ばれるプラチナは、金の年間産出量と比べてもはるかに少ない超希少金属です。変色・変質に非常に強く、しなやかで重厚感ある白銀色の輝きを持つことから、ブライダルジュエリーとしても高い人気を誇ります。
3. 銀(シルバー / Ag):美しい光沢と風合いを楽しむ魅力
すべての金属の中で最も可視光線の反射率が高く、白く澄んだ美しい輝きを放ちます。空気中の硫黄分と反応して黒ずむ「硫化」を起こしますが、磨き直せばいつでも元の輝きに戻り、あえてアンティークな風合いに育てて楽しむこともできる親しみやすい素材です。
脇役にして不可欠!ジュエリーを支える5つの白金族
主材料としては使われないものの、ジュエリーの品質や強度を高めるために不可欠なのが残りの5つの貴金属です。
- パラジウム(Pd)
プラチナより軽く、プラチナやゴールドに混ぜる「割金」として硬度や加工性を高めるために広く用いられます。 - ロジウム(Rh)
光反射率が高く硬いため、ホワイトゴールドやシルバー製品の表面を保護する「メッキ材」として非常に重要な役割を果たします。 - ルテニウム(Ru)& イリジウム(Ir)
非常に硬く耐食性に優れているため、プラチナに微量混ぜて強度を高めた合金として使用されます。 - オスミウム(Os)
貴金属の中で最も比重が大きいものの、酸化すると猛毒の四酸化オスミウムを発生させるため、ジュエリー用途には用いられません(万年筆のペン先などに使用されます)。
品位(純度)と「割金」の役割
ジュエリーの刻印で見かける「K18」や「Pt900」。これは金属の純度(品位)を表しています。
「品位」の表し方(24分率と千分率)
金(K18など)
金は慣例として「24分率(カラット)」で表します。K18は「24分の18=75%」が純金で、残り25%は他の金属であることを示します。
プラチナ・銀(Pt900、SV925など)
千分率(パーミル)で表します。Pt900は純度90%、SV925(スターリングシルバー)は純度92.5%を意味します。
なぜ純金をそのまま使わず、割金(わりがね)を入れるのか?
「純金100%(K24)のほうが価値が高くて良いのでは?」と思われるかもしれませんが、実は純金や純プラチナ、純銀はとても柔らかく、そのまま指輪にすると簡単に歪んでしまい、留めた宝石が落ちてしまうリスクがあります。
そこで、銅や銀、パラジウムなどの金属(割金)をあえて混ぜ合わせることで、以下の効果を生み出しています。
- 強度と耐久性を高め、変形を防ぐ。
- 割金の比率を変えることで、イエローやピンクなどの絶妙な色合いを表現できる。
- 日常使いしやすい実用性と価格のバランスを整える。
素材の価値を保ちつつ、長く身につけられる強度と美しさを与えること。これこそがジュエリー職人の仕立ての工夫です。
なぜジュエリーに貴金属が選ばれ続けるのか?
数ある金属の中で、なぜ貴金属だけがジュエリーとして愛され続けているのでしょうか。理由は大きく3つあります。
身につける人を惹きつける「審美性」
金属そのものが持つ上品な光沢と色合いが、身につけた人を華やかに引き立てます。
世代を超えて受け継げる「不変性」
変質や腐食に強いため、適切な手入れをすれば何十年と世代を超えて受け継ぐことができます。
世界共通の「希少性と資産価値」
地球上での採掘量が限られているため、素材そのものに時代や国境を超えた確かな価値が存在します。
From the WAS KNOT WAS Atelier
WAS KNOT WASでは、ゴールド、プラチナ、シルバーといった貴金属ごとの特性や割金のバランスを見極め、日常使いに耐えうる強さと、手肌に美しく馴染むフォルムを追求して一点一点仕立てています。
「自分にはゴールドとプラチナのどちらが合うだろう?」「K18とK10、Pt900の違いをもっと詳しく知りたい」といったご質問やご相談がございましたら、ご相談ください。
Written by Hideo Ochi(WAS KNOT WAS Designer / Craftsman)






