鋳造と鍛造の違いとは?ジュエリー製法の特徴と魅力を職人が解説
ジュエリーブランド「WAS KNOT WAS」代表の越智です。
兵庫県明石市のアトリエを拠点に、デザイナーと職人の視点を交え、細部にこだわって製作したジュエリー・アクセサリーの魅力を発信しています。
「この指輪はどうやって作られているのですか?」と、ジュエリーの製造方法についてご質問をいただくことがあります。
製法には、大きく分けて「鋳造(ちゅうぞう / キャスト)」と「鍛造(たんぞう)」という、根本的に異なる2つのアプローチが存在します。
今回は、この2つの製法それぞれの特徴やメリット、デザインによる向き・不向きについて、職人の視点から分かりやすく解説いたします。
鋳造の特徴 — 自由で繊細な表現を叶える製法
鋳造とはキャストとも呼ばれ、溶かした金属を型に流し込んで冷まし、固める製法です。ジュエリー制作では「ロストワックス製法」などが広く用いられています。
作り方の流れ
専用のワックス(蝋)を削り出したり、金属を直接加工したりして、デザインの原型(マスターモデル)を作ります。
複数生産・量産を行う場合は原型から「ゴム型」を作成し、ワックスモデルを複写します。一方、オーダーメイド等で1点モノの場合は、削り出したワックス原型をそのまま直接石膏で固めて焼き切る場合もあります。
石膏を焼き切ることで出来た中の空洞(型)へ、溶かした銀や金を流し込み、金属の形へと置き換えます。
メリット
- 複雑な立体デザインや、細かな彫刻・模様を繊細に表現できる
- 「ゴム型」を製作すれば全く同じ形状を精密に再現・量産でき、手削りのワックスを直キャストすれば世界にひとつの特別な造形も作れる
- 天然石を包み込むような複雑な石留め枠なども自由に作れる
製法の特性
金属を型に流し込んで成形するため、普段使いに耐えうる十分な強度を持ちながらも、繊細なフォルムや自由度の高いアート表現を可能にします。
こんなアイテムに向いています
モチーフリング(スカルや動物など)、複雑なラインを描く立体的なデザイン、繊細な石留めが施されたファッションジュエリーなど。現在流通しているシルバーアクセサリーやゴールドジュエリーの多くがこの鋳造で作られています。
鍛造の特徴 —叩き締められた圧倒的な密度と重厚感
鍛造とは、文字通り「金属を鍛える(叩く・圧力をかける)」ことで形を作り出していく製法です。古くから刀鍛冶や鍛冶屋の技術として受け継がれてきた伝統的なアプローチです。
作り方の流れ
SV925・SV950、K18、PT900といった金属の塊(地金)を素材に、ハンマーで直接叩き上げたり、ローラーで圧延したりしながら、目的の形へと変形させていきます。
メリット
- 金属を繰り返し叩き締めることで内部の結晶が緻密に引き締まり、非常に高い密度と変形しにくい硬度を備える
- 変形や傷に対する耐久性が一段と高いため、長年のハードな着用にもしっかり耐えられる
- 金属表面の密度が高いため、磨き上げた時の美しい輝きや重厚感が長持ちする
注意点・デメリット
- 金属を直接曲げたり叩いたりして成形するため、複雑な立体表現や細かい装飾を作るのには適していません。
- 職人が一工程ずつ手作業で金属と向き合うため、手間と時間がかかり量産が難しくなります。
こんなアイテムに向いています
シンプルなシルバーの平打ちリングや甲丸リング、バングル、日常で強い力が加わりやすいゴールドやプラチナの結婚指輪(マリッジリング)など。
「鋳造」と「鍛造」どちらを選ぶべき?
どちらの製法もジュエリーとして優れた実用性を備えていますが、「表現したいデザイン」や「身につけるシーン」に合わせて最適な製法を選ぶことが大切です。
造形美や繊細なデザイン性を楽しみたい場合は「鋳造」
表現の自由度が非常に高いため、個性的で流線的なフォルムや、天然石を際立たせるアート性の高いシルバー・ゴールドジュエリーに最適です。
究極の耐久性やシンプルな重厚感を求める場合 は 「鍛造」
金属の密度が非常に高く堅牢なため、毎日身につけるシンプルなリングやK18・K10・PT900を用いたブライダルジュエリーに最適です。
From the WAS KNOT WAS Atelier
WAS KNOT WASでは、明石市のアトリエにて、デザインの持つ雰囲気や使い心地、強度のバランスを考慮しながら、シルバーをはじめ、ゴールド・プラチナ等ひとつひとつのジュエリーを丁寧に仕立てています。
「このデザインにはどんな製法や素材が合っているんだろう」「長く愛用できる強度や着け心地のリングを探している」など、気になることがございましたらご相談ください。
Written by Hideo Ochi(WAS KNOT WAS Designer / Craftsman)






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